2017.02.28 00:00泡沫のよう梅の木にたくさんついていたつぼみが少しずつ開いてきました.枝の先にあるつぼみから咲いていくので,梅の木を眺めていると,大小さまざまな白い光のかたまりが浮かんでいるかのようです.それは海の底からぶくぶくとのぼってきた空気が,水面で泡に変わってゆらゆらと漂っているさまに似ています.そのためか,たしかにすぐそこに存在するというのにどことなく儚さを感じさせます.さて,2月も今日で終わり.加速度的と思えるほどはやく時間は過ぎてきます.ですが,時間の感じ方はひとによって全く違うのでしょう.花もつぼみと咲いた後では時間の感じ方が違うのでしょうか.もしも自分が花なら,いったい何分咲きなのか,まだつぼみなのか,それとも....春はどうも思索的になる季節のようです.
2017.02.27 01:05チューリップの鉢植え2月の終わりになって,ようやく寒さが和らいできました.今日は天気も良く,陽射しが明るい一日になりそうです.午前中は月に2度の園芸療法プログラムがない時間なので,この間の強風で壊れたフェンスを直したり,ガーデンや畑の手入れをしたり,たまっている書類作成や整理に勤しむ予定です.色々と慌ただしいですが,この春のバタバタは嫌いではありません.動物としての本能なのか,どこかうきうきとした気分になります.それは,カレル・チャペックの名著「園芸家12か月」やケネス・グレアムの「たのしい川べ」(くまのプーさんの原作挿絵で有名なE・Hシェパードの絵が素敵かつ,石井桃子さんの訳がとても素晴らしい)に描かれている通りで,毎年同じ繰り返しのようですが,春はいつでも新鮮で,そわ...
2017.02.23 00:46曇天に咲く夜更けから降り出した雨は昼前にやみましたが,重たい雲が空を覆っています.陽射しはありませんが,気温は少し高く,雨あがりの土の匂いが辺りに充満しています.春に曇り空が多いと感じるのは,そんな曇天模様が春という季節に似つかわしいと思っているからでしょうか.別れと出会いがすぐそこに待ち受ける季節は,青一色の空よりも,明るさも翳りも含んでいる曇り空の方が,その心情に寄り添ってくれるように思います.青空の下では明るく咲いていた梅の花も,曇り空では背景に滲み込んで,また違う顔を見せてくれます.
2017.02.22 03:18マンサク園芸療法ガーデンの西側斜面を登ると,そこには桜やモミジ,サザンカ,レンギョウなどの花木や,カリン,栗,ビワなどの果樹がたくさん植えられています.そのなかにマンサクの木もあるのですが,久しぶりに見に行ってみると,枝にびっしりと花が咲いていました.ひも状の黄色い花びらが特徴的で,ユニークな形の花ですが,匂いを嗅いでみると,甘く良い香りがします.春になると「まず咲く」ことからマンサクという名がついたようで,この花の匂いを嗅ぐと,いよいよ暖かい春が近づきつつあることを実感します.個人的には,この花をみると,和菓子のきんとんを思い出してしまうのですが,それは私だけでしょうか.
2017.02.21 00:34リビングストンデージー秋に種をまいて温室の中で育てていたリビングストンデージーの花が咲きだしました.葉っぱに水滴のような透明のぶつぶつがついていて,どんな花が咲くのかと思っていたら,ものすごく鮮やかな花が咲いて驚きました.南アフリカ原産の植物で,かつてアフリカの奴隷解放に尽力したデイヴィッド・リビングストンがヨーロッパに伝えたことから,この名がつけられたようです.リビングストンという人物については詳しく知りませんでしたが,調べてみるとかなり壮絶な人生を送った方のようです.リビングストンデージー花色は,そんな彼の功績を称えるように,きわめて明るく咲いているのではないかと思えてきます.
2017.02.20 03:40オオイヌノフグリここ数日,暖かい日が増えてきました.昨日ふと気が付いたのですが,午後5時を過ぎてもまだずいぶんと明るくて,日がのびてきているんだなということを実感しました.さて,そうなってくると,空き地や野原も枯れた草や土の色に緑色がちらほらと混じるようになってきます.春は雑草も色とりどりになりますが,当院の敷地内にオオイヌノフグリが群生して咲いているのを見つけました.斜面に淡い青色がぎっしりと咲いていて,下から見上げると一面が青で染まっていてとてもきれいです.畑や庭に生えてくると困った困ったと思ってしまう「雑草」ですが,この本を読んで,雑草を見る目が変わりました.著者である園芸家の柳宗民さんは淡々と雑草と呼ばれる植物について説明していくのですが,そのまなざしはとても...
2017.02.13 02:31ノースポール秋に種をまいて育ててきたノースポールの花が咲いています.学名としてはクリサンセマム・パルドーサムという名前なのですが,白い花がいちめんに咲く様子が北極を連想させることから,サカタのタネが「ノースポール」と名付けたようで,そちらのほうがより広く知られています.ノースポール(北極)と聞くと,写真家の石川直樹さんが若い頃に参加した地球縦断プロジェクト「Pole to Pole」を思い出します.北極から南極までを人力で踏破するもので,2000年の春から2001年の元旦にかけて行われた旅の記録は,彼自身によって写真や文章として残されています.日々の日記からはその旅の様子が相当な熱量と共に迫ってきて,いつのまにか身体ごとその世界に没頭しています.そうした身体性を喚...
2017.02.09 00:41菜の花このところ,寒い日が続いています.今日はこの辺りは雪までちらついていて,春が遠いです.ですが,温室の中で育てている菜の花がきれいに咲いていて,そこだけは春らしいムードです.鼻を近づけるとアブラナ科独特の香りがします.それほど数がないので「いちめんのなのはな」とはいきませんが,菜の花の黄色はどこかこころをふんわりと持ち上げてくれるような気がします.